制作実績
大宮玄以通にほど近い敷地に建つ町家のリノベーション。
この辺りは最近、感度の高いお店が増えてきており注目が集まるエリアである。
この建物は通常の京町家とは少し形態が異なり、L型の間取りとなっている。また狭小物件ということもあり、間取りの大きな変更が厳しい建物であった。
計画を始めるにあたって、最初に現場に訪れた際に感じた、通り庭に抜ける導線、光、風がとても印象的で、その雰囲気を残しながら、新たな生活の提案を模索した。
「家を使い切るという感覚」をテーマに狭小住宅であるが、家の中を一日の中で快適な場所を求め移動する生活をイメージした。1Fの庭に面する空間にどのような役割を与えることで、建物全体を使い切ることができるか検討した。
通常であれば南向きの一番いい空間はリビングやダイニングを配置するが、「一日の始まりと終わりを最高な空間で迎えることは最良の人生ではないか』という一つの結論に達し、寝室を起点にリビング・キッチン・書斎・水回りなどを配置した。
また、玄関スペースは狭小住宅における応接間のような役割をもたせるために、広めの空間を用意した。
ファサードに関しては元の町家のスタイルを踏襲するのではなく、モダンな印象に作り変えた。縦長のフォルムに空いた大きな開口部が京町家のリノベーションにありがちな「京町家らしさ」を排除しつつ、その町に馴染むものになったように思う。