京都の美容院
京都にある、ヘアサロンの計画である。
施主の柔らかなお人柄やお店のコンセプトを空間として表現するために、まずは様々な空間の「稜線」をぼかしていくことにした。
天井と壁、壁と床、柱型の出隅、入隅など、通常でいけば角が立ち、「稜線」として境目が出来てしまうところに、若干の丸みを持たせることで面同士の境目を曖昧にし、お客様がふわりと空間全体に包まれているような感覚となり、ほっと落ち着くような場所になることを目指した。
平面は、旗竿敷地のような少し歪な形状をしているが、入口から細長く伸びる空間をアプローチとして活かし、カットの前後に気持ちの切り替えができるような緩衝空間として機能している。
また、仕上げは珪藻土クロスとモルタルで全体的にシンプルでモノトーンに仕上げつつ、受付カウンター上部の細長い製作照明やミラー下の半丸カウンターなど所々に真鍮を用い、アクセントとしている。
旅をするように足を運んでもらい、「稜線」が曖昧で優しいこの空間で非日常体験を味わってもらえたら、と願っている。