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瀬名波の家

[ 2020 ]

CONCEPT

沖縄県読谷村瀬名波に
建つ住宅である。

沖縄も元々は木造建築が主流であったが、戦争を機にアメリカの輸入振興などでコンクリートが普及し、比較的安価で台風やシロアリに耐えうる構造としてコンクリート住宅が普及していった。現在でも大半がコンクリート造の住宅である。
近年ではハウスメーカー等の進出で木造住宅が少しずつ増えてはいるが、本土仕様の木造建築が沖縄という特殊環境に変換されないまま数だけが増えているのが現状である。
また、ここ最近の建築コスト高騰は沖縄でも例外では無く、コンクリート造・鉄骨造など一昔前に比べると倍近い建築単価になり、コスト面を考慮すると木造建築の可能性を探っていく必要があった。ただし、沖縄という特殊な気候条件下で木造建築を提案することはリスクを伴うことでもある。
我々は敷地・気候条件をしっかりと認識し、その条件に対して適切な答えを木造建築で示そうと考えた。

SOLUTION

01
8+1のグリッドからなるプラン

将来的な家族構成の変化も「沖縄」という特殊環境下では考慮すべき点である。
変化に対応するために平面を9つのグリッドに分け、周囲の8つはそれぞれ要望されている必要な機能とした。
中央部は特定の用途を与えず、各機能の拡張や変化に対応できるよう余白として残している。また、和室や子供室も移動できるものとし、余白のボリュームをチューニングできるようにしている。
親戚や友人を招いて食事をするときには、ダイニングが境界をまたぎ、拡張する。仏壇を囲って親戚が集まるときは、リビングが多方向に拡張する。子供が増えると子供部屋は移動拡張し、子供が家を出れば子供部屋は縮小する。
住人が減れば、室内を外部に解放して必要面積で暮らすことも可能である。

02
積木のように積んでいく木構造

今回は構造設計者と協議の末、柱勝ちの納まりではなく、柱の上に梁を乗せていく工法を採用した。まだ普及しきれていない沖縄での木造建築において、出来る限り部材同士の接合部を簡略化し、施工時のコスト・期間を抑えていくのが目的である。
柱の上に南北方向の梁を4列、その上に東西方向の梁を積み木のように4列並べ、方形の屋根を掛けた。台風への考え方も普段、設計活動の拠点にしている京都と沖縄では大きな差があり、より慎重な構造的配慮が求められた。風圧力に対して、屋根面・軒裏面・壁面を構造用合板で固め、基礎まで力が伝わるような構造とし、全体で風圧に耐えられるように設計した。

03
地面から少し浮かせたスラブ

敷地は降雨時に周辺の雨水が流れてきており、湿った地面であった。 そこで、湿度の高い床下空間に風が流れるように、高さ1.5m程度のコンクリート布基礎を東西方向に4列、3mピッチで並ぶように立ち上げ、建物を地面から持ち上げた。
持ち上げた事により出来た床下空間は、通気性の向上だけでなくPSの機能も果たし、容易に配管の取り替えや更新が可能となる。

  • プロジェクト:瀬名波の家
    主要用途:住宅
    所在地:沖縄県読谷村
    竣工年月:2019年11月
    カテゴリー:新築
    主要構造:木造
    規模:平屋建

    敷地面積:368.79㎡
    建築面積:94.50㎡
    延床面積:94.50㎡
  • 構造:門藤芳樹構造設計事務所 / 門藤 芳樹
    施工:有限会社 大協建設
    庭:HARVEST HIGH ! / 岩村 浩生
    写真:八杉 和興

    掲載情報:
    architecturephoto.net
    designboom

DATA