さちばるビレッジ
打ち合わせを重ねる中で、クライアントの口から出た「用途は決めたくないんです」と言う言葉がずっと僕の頭の中に残っていた。
本来であれば必要な機能をまとめ、どのような用途で使われるかを想定してプログラムや形態が決まっていく。
「形態は機能に従う」そんな言葉とは全く逆のアプローチで子供たちの自由な成長と学びの場になるような「第三の居場所」を目指した。
沖縄県南城市、海に程近い古くからある森の中に今回の敷地がある。二つの大きな琉球石灰岩を抜けた先にある大きな木々に囲まれた傾斜地。琉球王朝時代よりも古い時代からこのあたりでは農業が行われていて、石積みの段々畑や少しの平地が残っていた。
なるべく元の状態を崩さず、森の木は伐採せず、その場所に導かれるように形態を決めていった。
建築のプログラムも、まず外部空間を計画し、その補完機能として最小限の内部空間の計画を行った。
この土地の力を借りて、寛容でおおらかな沖縄らしい居場所が生まれたのではないか。